絵を描かずにアイデアを深掘り!SWOT分析を使ったラクチン整理・共有術
アイデア整理、どうしていますか?
グループワークや個人のプロジェクトで新しいアイデアを考えたり、既存の考えを深掘りしたりすることは、とても大切です。しかし、「考えがまとまらない」「どう整理したらいいか分からない」「他の人にうまく伝えられない」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
特に、手書きで図を描いたり、複雑なツールを使ったりすることに苦手意識がある場合、アイデアを「見える形」にするのが難しく感じられるかもしれません。
この記事では、絵を描くのが苦手な方でも、テキストベースで簡単にアイデアを整理し、さらに深掘りできる「SWOT分析」というフレームワークを使った方法をご紹介します。特別なデザインスキルは一切不要です。
SWOT分析とは?なぜアイデア整理に役立つのですか?
SWOT分析(スウォットぶんせき)は、ビジネスの状況などを分析するためによく用いられるフレームワークですが、アイデアやプロジェクトの整理にも非常に有効です。
SWOTとは、以下の4つの要素の頭文字を取ったものです。
- Strengths(強み):内部のプラス要因
- Weaknesses(弱み):内部のマイナス要因
- Opportunities(機会):外部のプラス要因
- Threats(脅威):外部のマイナス要因
例えば、あなたが新しいイベントを企画しているとします。そのアイデアについてSWOT分析を行うことで、「どんな点が強みになるか」「どんな課題があるか」「追い風になる社会の動きはあるか」「どんなリスクが考えられるか」といった点を多角的に検討できます。
これにより、単にアイデアを思いつくだけでなく、そのアイデアの実現可能性や成功要因、潜在的なリスクなどを網羅的に洗い出し、考えを深掘りすることができます。そして、このSWOT分析は基本的にテキストで情報を整理していくものなので、絵や複雑な図を描く必要がないのです。
絵を描かないSWOT分析の具体的な進め方
では、具体的にどのようにSWOT分析を進めていけばよいのでしょうか。特別なツールは不要です。普段使い慣れているテキストエディタやドキュメント作成ツールで十分に行えます。ここでは、手軽な方法として、シンプルなテキストリストや、Googleドキュメントの表を使った方法を例にご紹介します。
1. 分析対象を明確にする
まずは、何をSWOT分析するのかを決めます。特定のアイデア、プロジェクト、サービス、あるいは自分自身のことでも構いません。分析対象が明確になると、その後の情報整理がスムーズに進みます。
2. 各要素についてアイデアを書き出す
次に、設定した分析対象について、SWOTの4つの視点から思いつくことを自由に書き出していきます。ブレインストーミングのように、まずは質より量を意識して、制限なく書き出してみてください。
- Strength(強み): そのアイデアの良い点、得意な点、他のアイデアにはない魅力は何ですか?
- Weaknesses(弱み): 難しい点、課題、欠けているものは何ですか?
- Opportunities(機会): 世の中のトレンド、技術の進化、人々のニーズなど、アイデアにとって追い風になる外部環境はありますか?
- Threats(脅威): 競合、法規制、予期せぬトラブルなど、アイデアにとって逆風になる外部環境やリスクはありますか?
この段階では、箇条書きでどんどん書き出していくのがおすすめです。スマホのメモアプリや、Googleドキュメントなどに箇条書きでリストアップしていくだけで十分です。
3. 情報を整理する
書き出したアイデアを、それぞれのSWOTのカテゴリーに分類します。似ているものはまとめたり、より具体的な表現に修正したりして、情報を整理します。
Googleドキュメントを使うなら、以下のようにシンプルな4マス(2x2)の表を作成し、それぞれのマスに情報をコピー&ペーストしていくと、視覚的にも分かりやすく整理できます。
| 強み (Strengths) | 弱み (Weaknesses) | | :------------------- | :-------------------- | | - アイデアAの良い点1 | - アイデアAの課題1 | | - アイデアAの良い点2 | - アイデアAの課題2 | | | | | 機会 (Opportunities) | 脅威 (Threats) | | - 社会のトレンドX | - 競合サービス出現 | | - 技術の進歩Y | - 予期せぬコスト増 |
4. 要素間の関連性を考える(クロスSWOT分析)
SWOT分析のさらに強力な使い方として、「クロスSWOT分析」があります。これは、4つの要素を組み合わせて、さらに深い洞察を得る方法です。絵を描かなくても、テキストでそれぞれの組み合わせについて考えることで実行できます。
- 強み × 機会 (SO戦略): 強みを活かして機会を捉えるには?(例: 独自の技術力(S)を活かして、新しい市場ニーズ(O)に対応する製品を開発する)
- 強み × 脅威 (ST戦略): 強みを活かして脅威を乗り越えるには?(例: 優れた顧客サービス(S)で、競合の低価格攻勢(T)に対抗し顧客を維持する)
- 弱み × 機会 (WO戦略): 機会を捉えるために弱みを克服するには?(例: 新しい技術トレンド(O)に乗るために、技術不足という弱み(W)を解消するための学習計画を立てる)
- 弱み × 脅威 (WT戦略): 弱みを克服し、脅威を避けるには?(例: 資金不足(W)の状態で市場縮小(T)が進む前に、事業規模を縮小する、撤退を検討するなど)
これらの組み合わせについて考えることで、アイデアを実現するための具体的な戦略やアクションが見えてきます。これも、先ほどの表の下などに、それぞれの組み合わせについて箇条書きで考えられることを書き加えていくと良いでしょう。
グループワークでのSWOT分析活用術
SWOT分析は、一人で行うだけでなく、グループで取り組むことでさらに多様な視点を取り入れられます。
Googleドキュメントのような共同編集が可能なツールを使えば、複数のメンバーが同時に同じドキュメントを開き、各自が思いついたアイデアをリアルタイムで書き加えていくことができます。例えば、オンラインミーティングをしながら、画面共有してドキュメントを一緒に編集する、といった使い方が考えられます。
特定のツールを使わない場合でも、オンラインホワイトボードツールのテキスト機能だけを使ったり、共有可能なクラウドストレージ上のテキストファイルや表計算ファイルを使ったりすることで、絵を描かずに共同でSWOT分析を進めることが可能です。それぞれのメンバーが強み・弱み・機会・脅威のリストを分担して作成し、後で統合して整理する、といった進め方もできるでしょう。
絵を描かないSWOT分析のメリット
- 手軽に始められる: 特別なスキルや高価なツールは不要です。普段使い慣れたアプリで始められます。
- 思考が整理される: 4つの視点に沿って考えることで、漠然としていたアイデアが整理され、構造化されます。
- 深掘りできる: クロス分析を行うことで、アイデアのポテンシャルやリスクに対する理解が深まります。
- 共有が容易: テキストベースなので、他のメンバーと簡単に共有でき、フィードバックを得やすいです。
まとめ
アイデアを整理し、深掘りすることは、プロジェクトを成功させるために不可欠です。絵を描くのが苦手でも、SWOT分析のようなフレームワークをテキストベースで活用することで、論理的に思考を整理し、アイデアを多角的に捉えることができます。
Googleドキュメントなどの使い慣れたツールを使って、まずは簡単なSWOT分析から試してみてはいかがでしょうか。きっと、アイデアの整理やグループでの意見交換がスムーズに進むのを感じられるはずです。