テキストと図形だけで伝わる!グループワークで使えるシンプル構造図の作成法
グループワークでアイデアを伝える難しさ
グループで課題に取り組む際、自分の考えたアイデアや議論の流れを他のメンバーに正確に伝えるのは難しい場合があります。テキストや言葉だけでは、アイデアの全体像や関係性が伝わりにくく、誤解が生じることもあります。
特に、複雑なアイデアや複数の要素が絡み合う事柄を説明する際には、視覚的な補助があると理解が深まります。しかし、絵や図を描くのが苦手という方もいるかもしれません。専門的なデザインツールを使うスキルがない場合、どうすればアイデアを分かりやすく共有できるのでしょうか。
この記事では、絵を描くスキルがなくても、テキストとシンプルな図形(箱と線)を使ってアイデアや思考プロセスを視覚化し、グループワークでの共有を円滑に進める方法を紹介します。「シンプル構造図」を活用したラクチンなアイデア整理・共有術を一緒に見ていきましょう。
「シンプル構造図」とは何か
「シンプル構造図」とは、絵や複雑なイラストを使わず、テキストを入力した四角や丸などの「箱」と、その箱同士の関係を示す「線」だけで構成される図のことです。フローチャートや組織図、思考のブレークダウンなどで用いられる基本的な要素を応用します。
これは、アイデアの要素を分解し、それぞれの関係性を明確に示したい場合に非常に有効です。例えば、「ある問題の原因と結果」「企画のステップ」「アイデアの構成要素とその関連性」などを整理し、視覚的に表現することができます。
シンプル構造図を活用するメリット
シンプル構造図をアイデア整理やグループワークに活用することには、いくつかのメリットがあります。
- 絵を描くスキルが不要 あらかじめ用意された図形やテンプレートを使うため、絵を描くスキルは一切必要ありません。テキスト入力と図形の配置、線の接続といった基本的な操作で作成できます。
- 思考の整理が進む アイデアを要素ごとに箱に分解し、関係性を線で結んでいく過程で、自分の思考が論理的に整理されます。あいまいだった点が明確になり、新たな気づきを得ることもあります。
- アイデアの構造が分かりやすい テキストだけの情報に比べて、アイデアの全体像や各要素間の関連性が一目で把握しやすくなります。これにより、他のメンバーへの説明が格段にスムーズになります。
- 修正や変更が簡単 デジタルツールで作成するため、アイデアが変わったり、議論が進んだりしても、図形の追加・削除や線の変更、テキストの編集などが容易に行えます。手書きのように一から書き直す手間がありません。
- グループでの共有がしやすい 作成した図をオンライン上で共有したり、画像やPDFとして出力して配布したりすることで、参加者全員が同じ情報を視覚的に確認しながら議論を進めることができます。
具体的な作成ステップ:無料オンラインツールを使ってみる
シンプル構造図を作成するためのツールはいくつかありますが、ここではウェブブラウザ上で無料かつ登録不要で利用できる「draw.io」(現在はdiagrams.netという名称でも提供されています)を例に、基本的な作成ステップを紹介します。このようなツールは、多くの基本的な図形や接続線、テキスト入力機能を備えており、シンプル構造図の作成に十分対応できます。
- ツールにアクセスする ウェブブラウザで「draw.io」と検索し、サイトにアクセスします。ファイルの保存場所を選ぶ画面が表示されたら、PCやクラウドストレージ(Google DriveやOneDriveなど)を選択するか、「後で決定」を選んでください。
- 基本的な図形を配置する 画面左側には様々な図形が表示されています。「General」カテゴリにある「Rectangle」(四角形)や「Ellipse」(楕円形)など、最もシンプルな図形をドラッグ&ドロップでキャンバスに配置します。これがアイデアの各要素を表す「箱」になります。
- テキストを入力する 配置した図形をダブルクリックすると、その中にテキストを入力できます。アイデアのキーワード、短い説明、問いかけなどを分かりやすく記述します。長文にならないように簡潔にまとめるのがポイントです。
- 図形同士を線で接続する 図形にカーソルを合わせると、四隅や辺の中央などに青い点が現れます。この点から別の図形までドラッグすると、自動的に線が引かれ、図形同士が接続されます。線はドラッグすることで曲げたり、途中にポイントを追加したりできます。矢印の向きで関係性の流れ(例: 原因→結果、ステップ1→ステップ2)を示すことも重要です。
- 色やスタイルを調整する(任意) 必要に応じて、図形や線の色、線の種類(実線、点線)、テキストのフォントなどを変更して、より見やすくすることも可能です。ただし、凝りすぎず、あくまでシンプルさを保つのがポイントです。
- 保存・エクスポートする 作成した図は、ツールの機能を使ってファイルとして保存したり、画像(PNG, JPEG)やPDF形式でエクスポートしたりできます。
draw.ioのようなツールは、PCのブラウザだけでなく、タブレットやスマートフォンのブラウザからもアクセスできます。簡単な編集であれば、移動中や打ち合わせ中にスマホで確認・修正することも可能です。
グループワークでの活用シーン
シンプル構造図は、様々なグループワークのシーンで役立ちます。
- アイデア出しと構造化: ブレインストーミングで出たアイデアを箱に書き出し、関連するものを線でつなぎながら整理します。漠然としたアイデアが構造化され、議論の焦点を絞るのに役立ちます。
- 課題の原因分析: 発生している課題を中心の箱に置き、考えられる原因を周囲の箱に書き出し、原因と結果の関係性を線で結びます。根本原因の特定に繋がりやすくなります。
- 企画やプロジェクトの計画: 企画の目的、ターゲット、必要なステップ、担当者などを箱にまとめ、タイムラインや依存関係を線で示します。計画の全体像が共有しやすくなります。
- 議論の可視化と共有: 議論中に、話されている内容の要点や論点をリアルタイムで図にまとめることで、参加者全員が現在の議論の立ち位置や流れを把握できます。議事録の補助としても非常に有効です。作成した図を共有ストレージやグループチャットに投稿すれば、後から振り返ることも容易です。
これらの活用を通じて、シンプル構造図は、絵や複雑な図形を使わずに、アイデアや情報を分かりやすく整理・共有するための強力なツールとなり得ます。
まとめ
絵を描くのが苦手でも、アイデアを視覚的に整理し、グループでスムーズに共有する方法として、「シンプル構造図」の作成は非常に有効です。テキストと基本的な図形、そしてそれらを結ぶ線だけで構成されるこの方法は、誰でも手軽に取り組むことができます。
今回ご紹介したdraw.ioのような無料のオンラインツールを活用すれば、PCはもちろん、スマホやタブレットからでもアイデアを形にできます。ブレインストーミングの整理、課題の原因分析、企画の立案など、様々な場面でシンプル構造図を活用してみてください。
この方法を取り入れることで、グループワークでのアイデア共有がよりラクチンになり、議論が活性化し、より良い成果につながることを願っています。