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絵を描かないKJ法でアイデアを整理・共有!大学生向け簡単ステップ

Tags: KJ法, アイデア整理, アイデア共有, グループワーク, 大学生向け

グループワークで新しいアイデアを出したり、複雑な問題を整理したりする際に、「どうすればみんなの考えを効率的にまとめて共有できるのだろう」と悩むことはありませんか。手書きのメモがバラバラになったり、自分の考えをうまく絵や図で表現できなかったりすると、話し合いが滞ってしまうこともあります。

特にアイデアの整理や構造化が必要な場面では、様々な方法が提案されていますが、中には専門的なツールが必要だったり、図を描くスキルが求められたりするものもあります。絵を描くのが苦手な方や、手軽な方法で済ませたいと感じている方にとって、これは負担になり得ます。

そこで今回は、絵を描くことに苦手意識がある方でも実践できる、「絵を描かないKJ法」を使ったアイデアの整理と共有方法をご紹介します。KJ法は、文化人類学者の川喜田二郎氏が考案したアイデア整理・発想法ですが、その核となる考え方は、絵や図に頼らずともテキストベースで実践することが可能です。この方法を使えば、グループでのアイデア出しからまとめまでを、シンプルかつ論理的に進めることができるでしょう。

KJ法とは?絵を描かずに理解するその基本的な考え方

KJ法は、大量の情報を整理し、その中に潜む問題の本質や新しい発想を見つけ出すための手法です。通常は、以下の4つのステップで進められます。

  1. 発想(アイデア出し): テーマについて思いつくことをカードに書き出します。
  2. カード化・統合: 出てきたアイデアを言葉の単位で区切り、それぞれをカードにします。似た内容や関連性の高いカードをまとめます。
  3. 図解化: まとめられたカードのグループを配置し、グループ間の関係性を線や矢印で示して図にします。
  4. 文章化: 作成した図を見て、気づきや結論を文章にまとめます。

この中で、多くの方が難しさを感じる可能性があるのが「図解化」のステップかもしれません。しかし、KJ法の目的は「情報を整理し、関係性を明らかにする」ことにあります。この目的は、必ずしも複雑な図を描かなくても、テキストやシンプルな構造で達成できる場合があります。

絵を描かないKJ法では、この「図解化」のステップを、テキストの配置や見出し、箇条書きなどを駆使して表現することを目指します。

絵を描かないKJ法の実践ステップ

それでは、具体的に絵を描かないKJ法をグループで実践する簡単なステップを見ていきましょう。特別なツールは必要なく、共有可能なドキュメント作成ツールや、テキスト入力ができるオンラインホワイトボード、あるいはチャットツールでも応用が可能です。

ステップ1:アイデアをテキストで書き出す(発想・カード化)

まずはテーマについて、思いつく限りのアイデアを自由に書き出します。このとき、付箋アプリを使うイメージで、一つのアイデアや意見を短いフレーズや単語で区切って入力していきます。

全員が同じドキュメントやボードに書き込んでいくか、各自が書き出したものを後で一箇所に集約します。重要なのは、質より量、そして他の人のアイデアに影響されすぎずに自由に発想することです。この段階では、誤字脱字や表現の正確さは気にせず、思いついたことをそのままテキストにします。

ステップ2:集まったアイデアをカードに見立てて並べる(統合)

ステップ1で集まったテキストのアイデアを、編集可能な画面に一覧表示します。それぞれのテキストを個別の「カード」と見立てます。

次に、これらの「カード」を眺めながら、内容が似ているもの、関連性があると思われるものを近くに配置していきます。オンラインホワイトボードであれば、テキストボックスをドラッグして移動させます。共有ドキュメントであれば、カット&ペーストでテキストの並び順を変えたり、同じ項目をまとめてリスト化したりします。

この段階では、厳密なルールはありません。直感的に「これは仲間かな」と感じるものを集めてみましょう。

ステップ3:グループに名前をつけ、構造をテキストで整理する(図解化の代替)

関連性の高いアイデアが集まったら、それらを一つの「グループ」としてまとめます。それぞれのグループに、そのグループの内容を端的に表す見出しや名前をつけます。

このステップが、絵を描かないKJ法における「図解化」の代替部分です。グループ間の関係性を示す際は、矢印や複雑な図の代わりに、テキストで関係性を説明します。「〇〇(グループA)は△△(グループB)の主要な原因である」「✕✕(グループC)は☆☆(グループD)を実行するために必要な要素である」といったように、言葉でグループ間の繋がりや構造を表現します。簡単な記号(例: ->, => など)を使っても良いでしょう。

ステップ4:整理した構造をもとに議論をまとめ、文章化する

ステップ3でテキストによって整理されたアイデアの構造やグループ間の関係性を見ながら、議論を進めます。「なぜこのアイデアはこのグループに入れたのか」「このグループとあのグループの間にはどのような関係があるのか」などを話し合います。

議論の結果や、KJ法を通して見えてきた課題の本質、新しい発見、結論などを、構造に沿って文章にまとめます。これは、議事録を作成するようなイメージです。テキストで整理されたグループ分けや関係性の説明が、そのまま文章構成の骨子となります。

絵を描かないKJ法におすすめのツール

大学生のグループワークで手軽に利用でき、絵を描かないKJ法の実践に適したツールには、以下のようなものがあります。多くは無料で利用開始できます。

これらのツールを、目的に合わせて使い分けるか、組み合わせて利用することが効果的です。

グループワークでの活用事例

例えば、「学園祭で新しい企画を考える」というテーマでKJ法を実践する場合を考えてみましょう。

  1. アイデア出し: Googleドキュメントに「やってみたいこと」「課題」「必要なもの」などの仮の見出しを立てつつ、思いつくアイデアを箇条書きで書き出します(例:「〇〇を使った屋台」「VR体験コーナー」「資金集め大変そう」「人手足りるかな」「SNSで告知」「ポスター作る」「雨対策」など)。
  2. カード化・並べ替え: 集まった箇条書きを一つ一つ短いフレーズに整え、関連性の高そうなものを近くにドラッグ&ドロップ(ホワイトボードの場合)またはカット&ペースト(ドキュメントの場合)で集めます。
  3. グループ化・構造化: 集まったアイデア群に「飲食企画」「体験企画」「運営上の懸念」「広報活動」「備品/準備」などのグループ名をつけます。それぞれのグループの下に該当アイデアを箇条書きで整理します。さらに、「飲食企画」と「運営上の懸念(衛生管理、材料費)」の間に関係があることなどを、テキストで補足記述します。
  4. 文章化: 整理されたグループと関係性を見ながら、「学園祭企画案の骨子」として、どのような企画のアイデアがあり、それらを実現するための課題や必要な準備、そして広報戦略は何か、といった内容をレポート形式にまとめます。

このように、絵や複雑な図を使わずとも、テキストベースでの情報の配置と整理によって、アイデア間の関係性や全体像を把握し、議論を深めることが可能です。

まとめ

KJ法は、アイデアの整理や問題解決に非常に有効な手法ですが、「図解化」のステップで難しさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。今回ご紹介した「絵を描かないKJ法」は、テキストツールの機能を活用し、情報のグループ化や関係性の表現を言葉やシンプルな構造で行うことで、絵が苦手な方でも手軽に実践できる方法です。

この方法をグループワークに取り入れることで、参加者全員がアイデアを出しやすく、また整理された情報を共有しやすくなります。Googleドキュメントやオンラインホワイトボードなど、普段から使い慣れている可能性のあるツールで実践できる点も大きなメリットです。

ぜひ、次のグループワークで、この「絵を描かないKJ法」を試して、アイデア整理・共有をよりラクチンにしてみてください。