アイデアを深掘り!絵を描かないマンダラートでグループワークを効率化
はじめに:アイデア整理・発想の悩み、抱えていませんか
授業のグループワークやサークル活動で、新しいアイデアを考えたり、出たアイデアをまとめたりする際に難しさを感じることがあるかもしれません。特に、「絵や図を描くのが苦手で、頭の中のイメージをうまく伝えられない」「みんなのアイデアがバラバラになって、どう整理してよいか分からない」といった悩みをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
手書きのメモはかさばりますし、後で見返すのも大変です。かといって、専門的なデザインツールを使うのはハードルが高いと感じる方も多いと思います。このサイトでは、そうした「絵を描くのが苦手だけれど、アイデアを整理したり、みんなに分かりやすく伝えたりしたい」という方に向けた、手軽な方法を紹介しています。
今回は、絵を描かなくても、テキストだけで思考を整理し、アイデアを深掘りできる「マンダラート」という方法をご紹介します。グループワークで活用すれば、発想を広げ、議論を深める助けとなるでしょう。
マンダラートとは?テキスト中心で使えるアイデア整理法
マンダラートは、目標達成やアイデア発想のために使われるフレームワークです。中心にメインテーマ(あるいは目標)を置き、その周囲にテーマに関連する要素やアイデアを配置します。
最も一般的な形は、3×3の合計9マスからなる小さなマス目を基本とし、その中心マスにテーマを書きます。周囲の8マスには、中心テーマから派生する要素やアイデアを書き込みます。さらに、この周囲の8マスのそれぞれを、今度は新しい中心マスとして扱い、その周囲にさらに8つずつの関連事項を書き込んでいきます。最終的には、3×3のマスが9つ並んだ、合計81マスで構成される大きなシートが完成します。
この方法の大きな特徴は、テキスト(言葉)だけで実践できる点です。特別な絵や図形を描く必要はありません。文字を書き込んでいくだけで、頭の中にある断片的なアイデアが整理され、関連性が明確になり、さらに新しいアイデアが生まれやすくなります。
絵を描かないマンダラートのメリット
絵や図を描かずにマンダラートを使うことには、いくつかのメリットがあります。
- 手軽に始められる: 紙とペンさえあれば(文字を書くだけなので)、あるいはパソコンやスマホのメモアプリ、表計算ソフトでもすぐに始められます。特別なツールやスキルは必要ありません。
- 思考を構造化できる: 中心テーマから段階的に関連する要素を展開していくことで、アイデアや思考の全体像を把握しやすくなります。複雑な考えも、要素ごとに分解して整理できます。
- アイデアが広がり、深まる: 中心から放射状に関連語を出す過程や、それぞれの関連語からさらに展開する過程で、最初は思いつかなかったような新しい視点やアイデアが生まれることがあります。一つのテーマを多角的に検討するのに役立ちます。
- 共有しやすい: テキスト情報として整理されるため、他の人に共有したり、共同で編集したりするのが容易です。メールやチャットで送信したり、クラウド上で共有したりできます。
絵を描かないマンダラートの実践方法
マンダラートを実際に作成する手順はシンプルです。
- 中心テーマを決める: まず、考えたいテーマや達成したい目標を明確に決め、中心のマスに書き込みます。例えば「〇〇(授業名)のグループワークのテーマ決め」や「学園祭の新しい企画案」などです。
- 周囲の関連要素を出す: 中心テーマから連想されるキーワード、関連する要素、考えるべき項目などを、周囲の8マスに書き出します。ここは、テーマを具体的に掘り下げたり、様々な側面から捉えたりするための入り口となります。例えば「ターゲット」「目的」「内容」「場所」「スケジュール」「予算」「必要なもの」「懸念点」のように項目を並べることもできますし、「楽しい」「役立つ」「新しい」「簡単にできる」「安価」「協力」「準備」「発表」のように、テーマに関するキーワードを自由に出すことも可能です。
- 外側のマスを展開する: ステップ2で出した周囲の8つのキーワードそれぞれを、今度は新しい「中心テーマ」と見なします。そして、それぞれのテーマについて、さらに8つの具体的なアイデアや要素を書き出していきます。例えば、「ターゲット」を中心にしたマスであれば、「大学生」「高校生」「地域住民」「子供向け」「高齢者向け」「家族連れ」「友人同士」「一人参加」といった具体的なターゲット層を書き出す、といった具合です。これを8つ全て繰り返すと、合計81マスのマンダラートが完成します。
ツールとしては、罫線が引けるメモアプリや、Googleスプレッドシート、Microsoft Excelのような表計算ソフトが便利です。スプレッドシートであれば、セルを結合して中央にテーマ、その周囲に8つのセル、さらにその周囲に8×8=64個のセルを用意すれば、簡単に81マスを作成できます。
+---+---+---+
| | B | |
+---+---+---+
| A |テーマ | C |
+---+---+---+
| | D | |
+---+---+---+
(これは簡単な例ですが、実際は3x3のシートを9つ並べた構造になります)
グループワークでのマンダラート活用術
マンダラートは、個人の思考整理だけでなく、グループワークでのアイデア発想や議論の整理にも非常に有効です。
- アイデア出しのフレームワークとして:
- グループで話し合うテーマを中心に置き、みんなでブレインストーミングしながら周囲の8マスを埋めます。
- 次に、各メンバーが分担して、周囲の8マスからさらにアイデアを展開する外側のマスを埋めていきます。オンラインの共同編集可能なスプレッドシートなどを使えば、リアルタイムで一緒に作業できます。
- 完成したマンダラートを見ながら、出たアイデアを共有し、議論を深めます。アイデアの抜け漏れがないか、関連性はあるかなどを確認するのに役立ちます。
- 課題の要素分解と解決策の発想に:
- グループで取り組む課題や問題を中心テーマに置きます。
- 周囲の8マスには、課題を構成する要素や原因、関連する側面などを書き出します。
- 外側のマスには、それぞれの要素や原因に対する具体的な解決策やアプローチを書き込んでいきます。これにより、課題の全体像を把握しつつ、多角的な解決策を検討できます。
- 企画の具体化に:
- 漠然とした企画案を中心テーマに置きます。
- 周囲のマスには、「目的」「ターゲット」「内容」「スケジュール」「必要なリソース」「メリット」「リスク」「代替案」など、企画を具体化するために考えるべき項目を配置します。
- 外側のマスには、それぞれの項目に関する具体的な内容や詳細を書き込みます。これにより、企画の骨子を固め、必要な要素を網羅的に検討できます。
共同編集機能のあるツール(Googleスプレッドシート、Notionなど)を使えば、オンラインで離れていても一緒にマンダラートを作成・編集できます。また、各自が個別に作成したマンダラートを持ち寄り、共有して議論を深める方法もあります。
まとめ:絵が苦手でも、テキストで思考を広げ深めよう
絵を描かなくてもできるマンダラートは、アイデアの発想、整理、そして深掘りに役立つ強力なツールです。特に、グループワークでは、メンバー間の思考を共有し、議論を構造化するのに貢献します。
スマホやPCのメモアプリやスプレッドシートなど、普段使い慣れているツールで手軽に始められますので、絵を描くのが苦手だと感じている方も、ぜひ一度試してみてください。テキストだけで思考を広げ、新しいアイデアを生み出し、より効率的にグループワークを進めることができるでしょう。