レポート・企画に使える!5W1Hでアイデアを構造化し共有する方法
アイデアがまとまらない、共有が難しいと感じることはありませんか
新しいアイデアを考えたり、漠然とした考えを形にしたりする作業は、時に難しく感じられるものです。特に、グループで何かを進める場合、各自が持つアイデアを整理し、他のメンバーに分かりやすく伝えることはさらに一苦労です。手書きのメモでは後から見返すのが大変だったり、絵や図で説明しようとしても、どう描けば良いか分からず、苦手意識があったりすることもあるかもしれません。
レポートのテーマ決めや、グループワークでの企画立案など、様々な場面でアイデアを漏れなく整理し、効率的に共有したいというニーズがあることと思います。ここでは、絵を描くのが苦手な方でも、テキストだけで簡単にアイデアを整理し、スムーズに共有するための「フレームワーク」を使った方法を紹介します。
フレームワークとは何か、なぜアイデア整理に役立つのか
フレームワークとは、特定の目的を達成するために考えられた思考の「枠組み」や「構造」のことです。アイデア整理や問題解決のために、どのような視点から考えるべきかを体系的に示してくれます。
フレームワークがアイデア整理に役立つ理由はいくつかあります。
- 網羅性: 考えるべき要素が示されているため、アイデアの抜け漏れを防ぐことができます。
- 構造化: バラバラだった情報やアイデアを、示された枠組みに沿って整理することで、全体像を把握しやすくなります。
- 共通認識: グループで同じフレームワークを使うことで、全員が同じ視点でアイデアを検討でき、コミュニケーションがスムーズになります。
- テキストとの相性: フレームワークの多くは、質問形式や項目リストとして表現できるため、テキストベースでの整理に適しています。
今回は、数あるフレームワークの中でも、特に分かりやすく汎用性の高い「5W1H」を使ったアイデア整理・共有方法に焦点を当ててご説明します。
5W1Hを使ったアイデア整理法
5W1Hは、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(だれが)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」の6つの要素から物事を捉える基本的なフレームワークです。これらの質問項目に沿って思考を進めることで、アイデアや情報を構造的に整理できます。
この5W1Hを使ってアイデアを整理する具体的なステップを紹介します。特別なツールは不要で、普段使っているメモアプリやドキュメント作成ツールで実践できます。
- テーマを設定する: まず、整理したいアイデアや検討したいテーマを明確に定めます。例えば、「学園祭で新しい企画を立案する」や「オンライン授業の課題を改善する」などです。
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5W1Hの各要素を書き出す: 設定したテーマに対して、以下の質問を書き出します。
- When: いつ行うのか/いつ起きたのか
- Where: どこで行うのか/どこで起きたのか
- Who: だれが関わるのか/だれに対してなのか
- What: なにをするのか/なにが問題なのか
- Why: なぜそれをするのか/なぜそうなったのか
- How: どのように行うのか/どのように解決するのか
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各要素に沿ってアイデアや情報を記述する: 書き出した質問項目に対して、思いつくアイデアや関連する情報をテキストで記述していきます。箇条書きを使ったり、改行で区切ったりしながら、思いつくままに入力しても構いません。
例: 学園祭企画について考える場合
``` テーマ: 学園祭での新しい企画
When: - 学園祭期間中 - 〇月〇日、〇時〜〇時 - 準備は〇月から
Where: - 大学構内の〇〇広場 - オンラインでの配信も検討
Who: - 企画実行メンバー(〇〇人) - 対象は学生、地域住民 - 協賛企業
What: - 参加型のゲーム企画 - 学生の作品展示 - ステージでのパフォーマンス - フード販売
Why: - 来場者満足度向上 - 学生同士の交流促進 - 大学の活性化 - 収益を上げる
How: - 〇〇ゲームを企画・運営 - 作品募集、展示場所確保 - ステージ出演者募集、音響手配 - 出店希望者募集、衛生管理計画 ```
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記述した内容を整理・構造化する: 記述したテキストを見返し、関連する情報をまとめたり、不要な記述を削除したりして整理します。必要に応じて、さらに階層を深く掘り下げて質問を追加することも有効です。例えば、「What: 参加型のゲーム企画」に対して、「How: 〇〇ゲームを企画・運営」のように、関連付けて考えを深めます。
このステップで、アイデアの要素が網羅的に洗い出され、構造的に整理されたテキストができあがります。絵や複雑な図は一切使用していませんが、思考の全体像が分かりやすく表現されます。
テキストで整理したアイデアを共有する方法
テキストで整理したアイデアは、共有が非常に手軽です。
- テキストをそのままコピー&ペースト: メモアプリやドキュメントで作成したテキストを、チャットツールやメールに貼り付けて共有できます。特別なソフトがなくても、誰でもすぐに内容を確認できます。
- 共有可能なドキュメントツールを使う: GoogleドキュメントやNotion、Markdown対応のエディタなど、クラウドベースのツールを使えば、生成したテキストをリンクで共有したり、複数のメンバーで同時に閲覧・編集したりできます。これにより、リアルタイムでの共同作業やフィードバックの反映が容易になります。
- スプレッドシート形式で整理し共有する: 5W1Hの各項目を列として設定し、それぞれの行に具体的なアイデアや情報を入力していく方法もあります。スプレッドシートなら、情報を表形式で整理でき、ソートやフィルタリングも可能です。Googleスプレッドシートを使えば、共同編集も簡単に行えます。
これらの方法を使えば、アイデアの整理状態を絵や図のスキルに左右されず、誰でも同じように確認し、議論を進めることができます。
グループワークでの活用事例
5W1Hを使ったテキストベースのアイデア整理・共有は、様々なグループワークの場面で役立ちます。
- 企画のブレインストーミング: メンバーそれぞれが担当の5W1Hについてアイデアを出し合い、一つのドキュメントやシートに集約することで、全体像を素早く把握できます。
- 問題解決の糸口探し: 発生した問題に対して、5W1Hで現状を分析し、どこに原因があるのか、どうすれば解決できるのかを構造的に検討します。
- レポートや発表の構成作り: テーマについて5W1Hで情報を整理することで、話の流れや盛り込むべき要素が明確になり、アウトライン作成が効率的に行えます。
- イベントやプロジェクトの要素定義: 企画の初期段階で、Who, What, When, Where, Why, Howを明確に定義し、メンバー間で共通認識を持つことができます。
これらの活用事例のように、5W1Hフレームワークをテキスト形式で使うことで、アイデアの発散から収束、共有、そして具体的な行動計画への落とし込みまでをスムーズに進めることが可能です。
まとめ
絵を描くのが苦手でも、アイデアを論理的に整理し、他者と共有する方法は存在します。今回ご紹介した5W1Hのようなフレームワークをテキストベースで活用することは、その有効な手段の一つです。
フレームワークを使うことで、思考の抜け漏れを防ぎ、情報を構造化し、グループでの共通理解を深めることができます。特別なツールは不要で、普段使い慣れているメモアプリやドキュメント、スプレッドシートなどで手軽に始められます。
レポート作成、企画立案、問題解決など、様々な場面でこの5W1Hを使ったテキスト整理術を試してみてください。きっと、アイデアをまとめる作業が以前よりもラクになり、グループワークがスムーズに進むことを実感できるはずです。